レクイエム#032
「お前。それ、ケンカ
売ってるつもりなのか?」
「えッ」
そんなッ。
滅相もございませんッ。
「ほお〜お。
この俺にキバを向けるとは
お前も偉くなったよなあ」
なんてッ。
初対面のッ
しかも
いかにも育ちの悪そうな
乗っ取り犯なんかに
蔑まれる謂われは
ありませんけどッ
「それをどうする気だ?
俺のアタマでも
かち割ろうとでも
思ったかあ?、ん〜?」
「……」
そんな反論を
口にできるような
相手ではない、ってコトも
よく
わかってるつもりですッ。
「ほら、どうした?
そいつの重さに耐えかねて
お前の腕が震えているぞ」
乗っ取り犯が指文字で
私のオデコに
【バカ】と書いたッ。
「…くううッ」
振り上げた拳、ならぬ
持ち上げた石のような
アタッシュケースの
収めドコロを探しては
みるモノのッ。
「この俺を
さんざん苛立たせた罰だ」
なんてッ!
乗っ取り犯が
クリクリリッ、と
無防備な
私の右胸の突起の辺りを
中指で弄ぶッッ!!!!