「ぎょぎょぎょぎょ
ぎょえええええええッ」

思わず取り落とした
墓石のような
アタッシュケースが

ゴン、と嫌な音とともに

ワンオーのおに〜さんの
靴の上に落下してッ!


「うわおおッわはあッ」

声にならない悲鳴が
車内の空気を切り裂いたッ!


「ごッ、ごめんなさいッッ」

息を殺して
気配すら消していた
おに〜さんが

ここぞとばかりに
存在感を
アピールしていてッ。

「……」

私はそこに
アナタがいたコトすら
すっかり忘れていましたッ。


「あのッ
大丈夫ですか…?」

後部座席にうずくまっていた
おに〜さんの様子を

身を乗り出して覗き込むと

「あれ…」

このおに〜さんの
履いてる靴に

見覚えのある丸いシミ。