「立派な軍靴
履いてるクセに
大袈裟な!
お前らワンオーって
ホント、形ばっかだな」
セクハラ乗っ取り犯が
鼻でせせら笑いながら
私の顔に
アイアンクロウ!
「きゃ」
私のカラダを
強引に助手席に押し返す!
「他人の心配なんか
している場合じゃ
ないんじゃないかあ?
ん〜?」
「……」
フルフェイスのヘルメット。
スモークの掛かった
シールドの中の表情を
想像するだけで怖かった。
後ろの車のシンスケ達は
どうしているんだろう。
とにかく
隙をついて
一刻も早くこの場を
逃げ出さなければッ。
「…ごっくんッ」
毛布の下
助手席のシートベルトを
犯人に気づかれないよう
そっと外して
私は
開けっ放しになっていた
運転席のドアを
チラリ、見る。
「……」
この毛布を犯人に覆い被せて
その隙に…。