「とにかく!
この邪魔な車
警察に通報される前に
どこかに移動させなきゃ
なんだけど。
車の持ち主は
逃げちゃったみたいだな」
「ふん!
あの根性なし!
人間、こういうときにこそ
本性が出るよな」
なんて
セクハラ乗っ取り犯が
言うなッ!、って
私は思わずココロの中で
ツッコんだ。
「免許証
残していったみたいだけど」
え?
「…バードさんの
免許証…?」
毛布から顔を上げると
共犯者から
免許証を受け取りながら
フルフェイスのヘルメットを
セクハラ犯が
脱ごうとしていてッ!
「!」
私は慌てて
また毛布に顔を埋める!
「アイツ。
俺の顔を見て
逃げやがったんだよな」
セクハラ乗っ取り犯の
ヘルメットの
楕円形の重みを
私は自分の背中に感じ
心臓の音が
いっそう高鳴った。
…バードさんッ
この犯人の顔
見ちゃったんだッ。