私のコトなんて
眼中にさえ
入っていなかった、とか…?


「……」

哀しすぎる現実と
胸の中で戦っていた
私をよそに

セイってば

「オトコかどうか
試してみる?」

なんて

バードさんから奪った
ツケヒゲを
自分の口元に貼りつけた。


襟元に指を掛け
小首傾げながら

「ふふん」

…アナタは何を
誘っているんでしょうかッ。


ワンオーのおに〜さん。

あなたも
セイをオトコと認識した上で

そうやって
恥じらうように顔を
背けてみせるんですね…。

溜息をつく私の横で

「黒のアーミージャケットに
カーキのパーカー。
黒いゴーグル、ね」

ワンオーの制服は昔から
変わらないね、なんて

セイの指が意味深に

ワンオーのおに〜さんの
ジャケットの中に
入っていくでは
ないですかッッ!!!!