「……」

うわ、あ。

状況のさらなる泥沼化を
予感させるこの空気ッ。


ワンオーのおに〜さんに
背中を向けたまま

セイの口の端が上がる。


「…ちょっと、セイ」

セイが何より大切にしている
パパ達の信頼。

それを盾にされて
セイが黙ってるワケは
なかったのだけど。


車の中に散らばる
大量のガラスの破片。

言い訳の余地も
証拠隠滅の時間もない。


「……」

頼りになりそうだった
テルさんも

おに〜さんの右手に
胸倉を掴まれたまま

セイの後姿に
舌打ちしていた。


「あの、ですねッ」

その場を
何とか取り繕うとした
私の心遣いを
踏みにじるようにして

「やれるモノなら
やってみれば?」

逆上したセイが
火に油を注いでるッ。


こうなったら
もはや私では
セイを止めきれない!

誰か、誰かッ!