『もういい!
お前には
何も期待しないから!』

ワンオーの車のドアが
勢いよくスライドして

車から降りてきた
怒りマックスなシンスケと
一瞬、目が合ったけど。

「シンスケ、あのッ、私」

シンスケは一度も
コチラを振り向くコトなく

来た道を駆けていく…。


確かに
シンスケの坊主頭の元凶は
この私で

何をののしられても
仕方のない立場なのだけど。


「ふざけた顔、って…」

自分の大真面目な顔を
そんな風に
言われちゃったら

さすがの私も傷つくよ…。


ワンオーの故障車の
窓ガラスに

ゆらゆらと
頼りない私の顔が…。

「ん…?」

私の、顔…?

「……」

だあああああああ!

「何ッ、これッ!」


私のオデコに
まさか、まさかの
ツケ髭があああッ!!!


「…セイのバカめがッ」

私にデコピン
食らわせたときに

こんな土産を
貼りつけていたなんてッ!


くぬううううううう。

眉毛オンザ眉毛ッ。
クドイほど眉毛ッ。

シンスケが
不真面目だと怒ったのも
無理はナイッ。


「ちょっと、セイッ!」

私は勇んで
セイの乗っている車の
後部座席を覗き込むッ。


「セ…」

だけど。