レクイエム#036
「キミはこの車の持ち主?」
車の中を照らしていた
ライトが
今度は
車の外にいたテルさんに
浴びせられた。
「え、あ…」
テルさんが堪らず
後ずさるようにして
ドン!
運転席のシートに
腰を落とす。
「それとも
この騒ぎの加害者
なのかな?」
ライトが再び
車の中の割れた窓ガラスに
当てられて
セイの左肩に
顔を伏せるようにしていた
私の目も
激しくハレーションを
起こしていた。
「…ふん。
お仲間が来たっていうのに
さっきまでの威勢は
どこにいったんだろうね」
私の腰を抱いていた
セイの左手に
チカラが入り
「るせぇ…ッ」
ワンオーのおに〜さんが
ちいさな声で反応する。
「……」
そっと目を開けて見ると
まるで
悪いコトをした現場を
親や先生に
目撃されたかのように
身を縮めている
おに〜さんの姿があって。
「……」
どうしたんだろ。
本当なら仲間が加勢に来て
心強いだろうハズなのに。
「…まさかのニセモノ?」
とか?
私のひと言に
車の空気が固まった。