「あははははは。

トーコちゃんは
どんなときでも
発想が面白いねえ」

テルさんが
私に背中を向けたまま
ツッコんでくる。


だけど

「こういうヤツらは
ニセモノであって
欲しかったけど。

なあ、セイ?」

テルさんの嫌味にも
ワンオーのおに〜さんは
身を固くしたまま

反論すらしようとも
していなくって。


…マジ
どうしちゃったんだろう。


コンコンコン。

「そっちのお嬢さん達は
大丈夫ですか?」

ドアを叩く
車の外のオトコの声に

何だかすんごい
嫌な予感がするのは
何故でしょう…。


「……」

セイは外の様子を
じっと
伺っているようだけど。


「今でもときどき
背中に押し当てられた
タバコの痛み

思い出すんだよねえ」

セイがさっき
口にしていたセリフが
アタマの中でリピートしては

嫌な予感を
私は必死で打ち消していた。


コンコンコン。

「開けるよ」

「!」

返事のない私達に
痺れを切らして

ワンオーのおに〜さん側の
ドアが開く。


うつむいていた
おに〜さんの目が

おおきく見開いた。