「!!!」
私の背中の4点に掛かる
その重さに耐えかねて
私は思わず
セイのヒザの上に
突っ伏する。
背中の上で
ダンダンと何かが
激しく動いていた。
「ハックションッ!」
おおきなクシャミとともに
ワンオーのおに〜さんが
車の中を飛び出している。
「いやあ!
何ッ、これッ!」
「ワン!」
え。
「…ワン?」
「ワンワンワン!」
「……」
「俺に犬を近づけるな!」
遠くから聴こえてくる
おに〜さんの怒声と
鼻を噛む音。
「…犬?」
私の背中の上の
4足歩行のケダモノは
「ハッ、ハッ、ハッ」
尻尾を振り振り
大興奮ッ。
何やら私のセイに
カラダをすり寄せ
大暴れしていてッ
「お、重ッ…」
なんてクセの悪い犬ッ!
「…お前はそんなんだから
介助犬を失格に
されちまうんだぞ」
セイが静かに
溜息をついていて。
「知ってる犬ッ!?」
「……」
私の質問に
セイが無言でテルさんを
睨みつけていた。