「そう」
「でもッ!、キリエさん
ここに現れたとき
ワンオーと
一緒でしたよね?」
「そんなの、俺が知るかよ」
テルさんの
キーボードを打つ手が
乱暴になる。
「セイの妥協案にも
頑なに応じようとしないし。
とにかく
そういうコトなんだよ!」
「……」
「そのおかげで俺まで
娘探しに犬探しのみならず
ホント何が悲しゅうて
人前であんなマネ…」
テルさんが私に
何かを愚痴ろうとした
そのとき
『何よりも
輝いてます〜♪』
「!?」
『ピッピカリンリン♪』
突然、その歌が
車内に響き渡った。
「ワンワ、ワオオ〜ン!」
「…何?
トーコちゃんのケータイの
着メロ?
さすが、ユニークだねえ」
テルさんが苦笑しながら
私の趣味を
疑っているけれど。
「…この曲」
それは紛れもなく
不快きわまりない
満員電車で鳴り響いていた
あの童謡で…。
「……」
無数の悪意が
私に向ける為の爪を
静かに研ぎ始めていた。
月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ
レクイエム#037
≪〜完〜≫
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