なんとなく
胡散臭い
信用ならぬ集団だとは
感じてはいたけれど
今、この場で
そんな大それた結論を
出すコトが
自分にとって
どれだけ不利な状況かは
わかっているつもりだ。
車の外には
大勢のワンオー達。
多勢に無勢。
今日の経験から言っても
事実なんて
すぐに捻じ曲げられて
しまうだろう。
ううん。
それ以前に
そんな可能性を
セイに悟られようモノなら
それこそ
血の雨が降りかねないッ。
「私は気づかない。
気づいてはいないッ」
そう必死に
私は自分に言い聞かせた。
「トーコちゃん?
ケータイ、出ないの?」
「……」
「トーコちゃん?」
「あ」
名前を呼ばれて、我に戻り
正面を見ると
「ケー、タ、イ」
テルさんが運転席から
私の足元を指さしている。
「ほら。右足のトコ。
ケータイ落ちてるよ」
「……」
シートの下に手を伸ばし
ケータイストラップ
らしきモノを
恐る恐る引っ張ってみると
『今日もトイレを
磨きます〜♪
お掃除大好き〜
ママッ、ママ、ママ♪』
着信ランプの光る
ケータイが顔を出した。
「マットブラックの
ケータイなんて
トーコちゃんの
イメージじゃないね〜」