それって

このケータイの持ち主が
バードさんだって
言ってるのかな。

やだな。

覚悟していなかった、って
言えば
ウソになるけれど。

「もしかして
このケータイの情報も
セイに頼まれて?」

やっぱり

そういう事実は
知りたくなかったな。


「あ〜。
そのケータイはね。

裏で取引されている
いわゆる名義貸し」

「え?」

「シンスケくんだっけ?
彼の画像をネット上に
アップしていたのが
そのケータイからでさ」

「……」

「まさかそのケータイを
使っていたのが

キリエさんの娘だった
とはね」


確かに。

私やセイに
送りつけられてきた
URL付きのメールの
送り主のアドレスには

“kyrie”の
文字があったけど。


「セイがキリエさんの為に
自分のコトを
探してる、って情報を
どこかで入手して

これをネタに
探すのは諦めろ、と
脅しを掛けるつもり
だったんじゃ
ないのかねえ〜」


でも、それって…。

「じゃあ、アップされていた
シンスケの画像は…?」

天辺だけが剃り落された
無残な姿は

通り魔に襲われて
ワンオーに
保護されるまでの
わずかな時間の間に
撮影されたモノで

誰にでも
写せたワケじゃない。


「あの娘、以前
ワンオーに
所属していたらしいから

保護されたての
シンスケくんの画像を
手に入れる方法は

いくらでも
あったんじゃないの?」

「……」

確かに
ワンオーのおに〜さんも
バードさんのコトを
見覚えのある顔だと
言っていたけど。