しかも、そのボールペン
見覚えがありますけど

もしかしなくても
それッ
ワンオーのおに〜さんの
落し物…ですかッ。


この期に及んでまで

ワンオーのおに〜さんの
疫病神っぷりに
揺るぎなしッ。


「…OK、わかった。

キミの本気度は
充分に伝わってきたから。

その、もうちょっと
穏やかに話さない?」

両手を上げて
降参のポーズをする
テルさんの手を

「余計な仕草は
しなくていい!」

バードさんが焦って
下ろさせた。


…さっきから
私の陰に隠れるようにして。

車の外から
中の様子を悟られないように
しているのか。


車の外

ワンオーに囲まれていた
セイは
こちらに背中を向けながら

何やら面倒臭そうに
ケータイをいじっている。


気づいてくれないかな。

チラリ、とでも
こっちを見てくれたなら…。


こっち、向け!
こっち、向け!

こっちを向かんかいッッ!


全気力を込めて

セイの背中を
穴が開かんばかりに
見つめ続けても

哀しいかな

生来、ヒトの視線に
さらされて生きてきた
この美形には

何の効力もなく…。