いつもなら
私の行動に
目を光らせずには
いられないセイなのに
どうして
こんなときに限って
ケータイなんかを
いじり続けていたり
するんでしょうか。
キリエさんを
後回しにしてまで
出なきゃいけないメールって
なんなんですかッ。
「……」
そうだよ。
キリエさん。
ずっと探していた娘さんが
こんなにも
近くにいるのに…!
なんて歯がゆい…!!!
「車を出して」
「…だけど」
「早く出して!」
バードさんが焦っている。
…一か八か
大声を出してみようか。
そうだよね。
もみ合いになっても
テルさんがいる分
確実に私の方が有利だし。
ほんのちょっとでも
隙をみせてくれたら
ありがたいんだけど…。
「早くして!」
自分の指示を
実行しようとしない
テルさんの
煮え切らない態度に
バードさんは
苛立つばかりで。
「…犬が、ね。その」
テルさんが指さす
助手席の上
キリエさんのバカ犬の
シッポが見えた。