「トーコちゃん。
このケータイ
どこを押せば電源入るの?」

「え?、あ。
開けば、勝手に…」


こんな私達の様子を見て

さぞかしテルさんは
ニヤニヤと…。

あれ?

「……」

真面目な顔。


ミラー越しに
私と目が合って

テルさんは私から
慌てて目を逸らす。


「俺のも、だよね」

自分のポケットから
虹色のケータイ電話を
取り出すと

テルさんは
自分の肩の高さにまで
持ち上げてみせた。


「……」

さっきのテルさんの目。

何かすごく
言いたげだったような…?


「電源は入ってるけど
切っとこうか?」

「余計なコトは
しなくていいから」


なんかやたらと渡すのを
勿体ぶっているけれど。


これって…もしかして。


バードさんに
ケータイを渡すその隙に
急ブレーキを掛けて

バードさんを揺さぶる
作戦…。

だったりして…?