レクイエム#041
私、神様に
何かイケないコトでも
しましたか?
割れた窓ガラスに向かって
冬の夜風が
容赦なく吹き込んできて
車の後部座席に
沈み込むように座っていた
私は
ブルル、と身を震わせた。
運がないときって
ここまで悪い偶然が
重なるモノなのか。
左車線を走る車の
ドライバー達が
暖かそうな車内から
もの珍しそうに
こっちを覗き込んでいる。
「…そうだよ」
だいたいさッ。
このクソ寒いのに
窓ガラス開けたままの
トラックに
タイミングよく
出くわしてしまうコト自体
信じ難い出来事で…。
って…。
「あれ?」
私はすれ違う
反対車線の対向車達に
目をこらした。
「どうして
反対側を走ってるトラックが
みんなして
運転席の窓ガラスを
開けてるんだろう…」
ETC搭載車なら
高速の入り口でも
窓ガラスなんて
開ける必要もないし。
「ああ、あれね。
たぶんマーマの店の
帰りだからだよ」
え?