「相変わらず24時間営業で
頑張ってるんだ…」

通り過ぎた店を
バードさんはいつまでも
目で追いながら

「中国人の気のいい老夫婦が
やっていてね。

“いつも見回り
ご苦労さん”って

他の客にはわからないように
オマケしてくれてさ」

昔を懐かしんでいる。


「……」

“見回り”って

ワンオー時代の話なのかな。


「服や髪にニオイがついて
買い食いしてるの
家のヒトにバレちゃうよ、と
心配しながら

先輩と毎日のように
ふたりで立ち寄ってたなあ」

なんて

その横顔が
まるで憧れのヒトとの
想い出でも語っているよう
だったから…。


「その先輩、って
オンナの、ヒト…?」

ブシツケな私の疑問に

「……」

バードさんが黙ったまま
私の顔を見つめていた。


「あはッ、いえ。
何でもないですッ」

「……」

「あはははは…?」

「……」

「あは…?」


「…次の信号を
右に曲がって」

テルさんに道を指示する
バードさんの横顔が

また冷静になる。