いったいバードさんは
どこに向かおうと
しているのか。

「……」

不安に駆られながら
前方に目をやると

ヘッドライトの向こう
遠くに深い緑が確認できた。


「あ、あの公園…」

見覚えのある標識に
公園のライトの色。


左に曲がって
右に入って
左に曲がって

それから、え〜っと

なんだか
たくさんの距離を
走ってたような
気がしてたけど

「ぐるっと回って
この場所に
戻ってきてたんだ…」


黄色いライトの下には

野外劇場のような
ちいさなステージ。


思い起こせば

「あのステージ上の
太極拳の演武なんか
やっていなければッ」

ワンオーの車が
ぶつけられるコトだって
なかったし

シンスケが鼻血を出して
バードさんに声を
掛けられるコトもなく…。


「…私、なんだか
ハメられているような
気がするッ」

思わず漏らしたひと言に

「…ハメられた、って
誰に…?」

ルームミラー越しに
テルさんが
私をじっと見つめている。