「ほらッ。人質に
俺みたいな
賢い成人男性がいたら

隙も見せられなくて

アンタもいろいろ
厄介だと思うんだけど?」


俺みたいな“賢い”成人男性


「……」

これまでの数々の
アシスト行為及び雑学披露は

もしかして
この為の布石だった、と!?


「俺、こう見えても
口は堅いから安心しててよ。

アンタのカタがつくまで
どこかで身を潜めておくし」

笑ってるッ!


自分だけ解放されるだなんて
そんな非人道的なコトが

この期に及んで
許されると…。


「ご随意に」


え。


「いいの?」

「バードさんッ!?」


その選択って
アリなんですかッ!?


動揺する私のカラダを
車から押し出すと

バードさんは私を連れて
エレベーターに向かって
歩き出す。


「え。あのッ。
マジで!?、私だけッ!?」


必死で振り向こうとした
私の目の中に入ってきたのは

お愛想程度に
ちいさくバイバイする
テルさんのお姿でッ。


閉まりゆくエレベーターを

最後まで
笑顔で見送っていた。