…ついていった方が
いいのかな。
でも…。
答えを導き出せずにいる
私から
バードさんは視線を逸らすと
黙って俯いたまま
ひとりドアの向こうに消え
「あの…ッ!」
私の目の前で
静かにドアが閉じられる。
「…あ」
もう私はお役御免、って
コトなのか。
「いいんですか〜?
私、このまま
帰っちゃいますよ〜?」
小声で声を掛けるも
応答はなく…。
「…バードさん?」
私は非常階段へと
そっと歩みを進めてみた。
「……」
バードさんが入っていった
部屋。
「鍵で開けてふつうに
入っていってたように
見えたけど…」
誰の部屋、なんだろう。
ドアの上
表札には名前がなく。
「入居審査が厳しいって
言ってたよね…」
バードさんの友人の部屋
だとか?
だけど
「合鍵を持っているなんて」
相当の信頼関係が
あるってコトだよね。
だとしたら。
信頼してくれている
相手の部屋で
自殺なんてあり得ない。
「あはッ。私なんかが
心配しなくても大丈夫…」
安堵して
非常階段の柵状のドアを
私が押し開けたその瞬間。
「え」
私は
自分の視界に入ってきた
ソレを
思わず
二度見してしまっていた。
「KUB…O?」