名前のない表札に
光が反射して

アルファベットの文字板を
剥がした跡が
ハッキリと読み取れる。


「…まさか」

クボ先輩のお義兄さんが
住んでいた部屋…!?


「あは」

バードさんが
クボ先輩のお義兄さんと
知り合いだった…?


しかも
合鍵を渡すような…。


「…だとしたら!」

ひええええええ。

そんな場所にバードさんを
ひとりにしてちゃ

いけないんじゃないで
しょうかッ!


私は慌てて
降り掛けていた非常階段を
引き戻ろうとして

「あわわわわ」

足を縺れさせ
危うく転びかけながら

必死の思いで
バードさんが入っていった
部屋のドアノブに
手を掛けた。


「ちょっとアナタ

その部屋に
なんの御用かしら?」


「え」