「何の騒ぎだ!」
マンションの
あちらこちらの部屋から
住人達が現れて
「ちょっと、お嬢ちゃん」
私は一等ガタイのいい
ゴマ塩アタマの男性に
襟首を掴まれ
引き寄せられる。
「あのッ!、私はッ」
「さっき駐車場で
ガラスが割られていた車を
見掛けたけれど
まさか…」
白髪のご婦人のひと言に
住人達の疑心に満ちた視線が
一斉に私にそそがれた。
「いえッ。違いますッ!
あれは私じゃなく
弟のセイが…!」
「共犯者がいるのか!」
え。
「共犯者と仲間割れの挙句に
相手を
刺しちゃった、とか?」
「正直に答えなさい!」
私の右腕が
マッチョなゴマ塩アタマに
容赦なくねじ上げられ
「痛だだだだだッ」
壁にカラダを
押しつけられる。
「なんで
こうなっちゃうんで
しょうかッ」
マンションの最上階。
中庭を覗き込むような体勢で
私はその場に抑え込まれた。
“そのまま落ちたら
面白いよね”
幾重にも重なったネット達が
私をからかうように
おおきく揺れる。
一部始終を楽しんでいた
神様が
私を見て、また笑っていた。
月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ
レクイエム#043
≪〜完〜≫
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