「…消えたのはッ

私のケータイが乗っていった
車のナンバーでッ」

「ケータイは
自分で車に乗ったりは
せんだろう?」

「カッパちゃん
ホント、面白い子!」


ゲラゲラゲラ、と
枯れた笑い声が

私の脳を揺さぶってゆく。


「…このヒト達ッ」


ここは冷静に
ここは冷静に。


こんなにたくさん
ヒトがいるんだから

ちゃんと整理して話せば

誰かひとりくらい
理解者になってくれるヒトが
いるハズで…。


「だから、ですね。
私が言いたいのは、ですね」

「私って可哀そう?」

「違いますッッ!!!」


私の嘆きが
古いマンションの廊下に
空しく響いた。


「全部、順を追って
お話しますからッ

少しの間だけ
黙って聴いては
戴けないでしょうかッ!!」