バードさんに背中を押され
「あッ」
足元にあった玄関マットに
足を取られ
その場に倒れ込む。
「……」
目に入ってきたのは
天使の羽根型の玄関マットと
可愛い鳥の
キャラクタースリッパ。
あきらかに
オトコの一人暮らしの
ソレではなかった。
「大丈夫?」
バードさんが
玄関の明かりを点けると
空色の壁と白い天井が
目の中に飛び込んでくる。
芝のような
グリーンのカーペット。
木製のちいさな
オーバル型の額には
手作り感いっぱいの
鳥の刺繍が飾られていた。
明るく爽やかで
やさしい色達に出迎えられ
「……」
緊張していた自分の肩から
チカラが抜けていくのが
わかる。
「ホントはね。
無視し続けようと
思っていたんだけど、ね」
バードさんの呟きに
耳を澄ますと
「カッパちゃんは…」
廊下から
住民達のオシャベリの声。
「…全部
丸聴こえだったんですね」
穴があったら入りたい…。
「あまりにも
聴くに
耐えられなかったからさ」
…ごめんなさい。