「…どうかした?」
「いえッ。なんでしょおッ」
「…インスタントだけど
コーヒーでいい?」
「あ、はいッ」
突然、バードさんに
声を掛けられて
ああ、ビックリッ。
ココロノ中を
見透かされたのかと
超アセる。
「砂糖とミルクは?」
キッチンカウンターの
向こうから
スティックシュガーを片手に
こちらを覗き込んでいる
バードさんに
「あ、どちらもひとつずつ」
返事を返すと
「了解」
バードさんは迷いもなく
棚からミルクを
取り出していた。
無駄のない
その手際の良さ。
バードさんの背後に
覗き見える
業務用の強力粉の粉に
おおきな蒸し器。
吊り下げられている
長い丈の
真っ白な布巾達が
バードさんがこの部屋を
根城にしている事実を
物語っている。
「…お待たせ」
「あッ」
目の前に差し出された
マグカップに
「いただきます」
私は立ったまま
唇を近づけた。