しまったッ!!!!!
「……」
「……」
「…いえッ、あの」
「……」
「そのッ」
口元は笑っているのに
バードさんの私を見る目が
明らかに変わっていて。
静かな瞳。
「キリエさんと言ってもッ
バードさんのお母さま
以外にも
ほらッ、広い世の中ッ
たくさん同姓同名が…ねッ」
バードさんからの
無言のプレッシャーに
耐えかねて
焦れば、焦る程
ドツボにハマってしまうのは
何故なのかッ。
「…どうして?
何でトーコちゃんが
僕の母親の名前を
知ってるの?」
!!!!!
「…あ」
私の失言の上塗りに
バードさんの顔から
笑顔が完全に消えている。
「え、あのッ。えっと」
「……」
「それは弟が…」
「弟?」
「……」
「弟が何?」
「……」
下手なコトを言ってしまって
大事な情報を
相手に渡してしまった、と
後でセイに責められる
可能性と
今、この場を乗り切る為の
処世を
天秤に掛けたなら
どちらが重いと出るだろう。