そりゃあ。
車で通り掛かって
親切心から手を貸した
初対面の相手が
自分の母親のコトを
知っていて
しかも
自分が成りすましている
本人と知り合いなんて偶然
信じ難いモノがあるのは
私にも理解は出来るけど。
「自作自演って…」
「じゃあ、聴くけど。
キミはこれもたまたま、と
キミは言うのかな?」
バードさんの視線が
私の肩先に付いた血の跡に
向けられる。
「このパーカーに
ついている血、本物?
よく見たら
すごく不自然な場所に
シミがあるんだよね」
「…それはッ!
シンスケの鼻血だからで…」
「キミは僕の車の中で
妄想興奮による
自分の鼻血だと
説明していたよね?」
!!!
「あ、あのときはッ
成り行き上ッ」
シンスケのプライドを
傷つけるワケには
いかなくて
「つい、口から
出まかせを…!」
「成り行き上、ね」