何か事件でもあって
忙しくしているのか。

それとも

「いつまで経っても
変わろうとしない僕に

いい加減さじを投げて
諦めてくれたのか」


だけど。

「身軽になって
せいせいしていた僕の姿を
見つけては

街のみんなが

彼女はどうしたんだ、って
僕に訊いてくるんだよね」


“ゴミは
ちゃんと決められた時間に
所定の場所に!”


“ここは
自転車侵入禁止地域です!”


“サッカーのボールを
マンションの壁に
ぶつけて遊ばない!”


口うるさくて

迷惑行為を見つけたら
咎めずにはいられない

そんな彼女だったから。


「街のみんなが
僕と同じように

彼女のコトを
ウザがっているとばかり
思っていたのにさ」


“アンタでもいいや。

この道路
車イスが通れなくて
困ってるんだ”


「なんか知らないけど

気がつくと
彼女の代わりに

放置自転車の整理とか
ケンカの仲裁とか
木の上のネコ降ろしとか

頼まれちゃったりしてさ」


面倒だったけど

「ていのいい街の奉仕者で
済んでいるときは

まだよかった」