浮かんでくるコトバを
端から呑み込みながら

両手の中にあった
空のマグカップの中に
視線を逃がすと

「コーヒー
お替り入れようか」

「あ」

バードさんが
私からマグカップを取り上げ

返事を待たずに立ち上がる。


「…さっきさ。
キミ、言ったじゃない?」

「え」


「いろんなコトから
逃げ回って

解決できるコトなんて
ひとつもない、ってさ」


顔をあげると

そこには
バードさんの無防備な後姿。


「…昔さ。

同じセリフを
彼女にも
言われたなあ、って」


「……」


「ほら」

バードさんが
マグカップの文字を
指さした。


【at home】


“そこが
アナタの居るべき場所”


「彼女がクボくんの為に
選んできたマグカップ。

彼女らしいな、って
思ったな」