クボ先輩のお義兄さんに
捧げられたメッセージ。


跡継ぎとして
本宅に引き取られたモノの

弟の誕生に

自分の居場所をなくしていた
お義兄さん。


彼にそのコトバは
どんな風に
響いていたのだろうか。


「……」

バードさんから受け取った
マグカップの文字を
私は親指でなぞってみる。


「彼女が
この部屋を訪ねる度に
何かを残していってたから

今でこそ
部屋中がモノで
溢れ返っているけどさ」


初めてこの部屋を
訪ねてきたときは

「ここに
誰か住んでるの?、って
くらい

ヒトの生活の気配のない
部屋だった」


羽根の形をしたクッションを
邪魔にしながら

バードさんは
テーブルを挟んだ
向こう側のソファーに
腰掛けた。


「出逢った頃の
クボくんってさ

こ〜んなカンジでさ」


ヒザを閉じ、内股気味に
ハの字に開いた足を
バードさんが再現する。


太股の下に手を入れ

オドオドと落ち着かない
様子で

「…ニコッ」

バードさんが
妙なタイミングで
私にハニカんでみせた。