レクイエム#050
「ウソとかじゃなくて
勘違い、ってゆ〜か…」
「勘違い、って?」
「……」
その切れ長な瞳は
私をロックオンしたまま
離さない。
「…ごっくんこッ」
堪らず私は
マグカップを口に運んで
バードさんとの視線を
切った。
なのに。
「…それってさ。
僕に
ここまで話をさせたコトを
後悔させるような
訂正だったりするワケ
なのかな?」
「……」
美しい顔が
私の視界一杯に入ってくる。
「クククク“クボ先輩”と
ゆ〜のはですねッ
ここの部屋に住んでいた
お義兄さんのコトではなく
義弟の方のコトでッ」
「…義弟?」
バードさんの顔が近いッ。
「えっと、あの…」
近すぎますッ。
「エレベーターの中で
バイト先の先輩と後輩だとか
言ってたけれど
本当に
それだけのカンケイ?」
何でしょう。この迫力はッ。
「……」
「……」
ウソをついたら
そのまま石にされかねない。
アタマが変になりそうな
その妖しい迫力に
「え、あのッ、そのッ」
「正直に」
私は完璧に呑まれていた。
「クボ先輩は私の
彼氏だったヒトですッ!!」