セイはよく言っていたよね。
いつどんなコトがあるか
わからないから
服装には気を抜くな、って。
今日だって
急な呼び出しにも関わらず
オシャレな格好で
セイが出掛けて行ってたのを
私は邪推してしまっていて。
「……」
セイの言うコトは
次からはちゃんと聴こう。
ひたすら
後悔と反省を繰り返す私に
「ウソをつくにも
もう少しマシなコトを
言えないのかな」
バードさんが
苦笑いしていてッ
「あのッ、私ッ
クボ先輩のお母さんに
似てるらしくって
それでッ」
思わず言い訳している
自分が悲しかった。
「似てる?、どこが!」
バードさんから
浴びせられる
容赦ない返り討ちに
「……」
私は見事に玉砕される。
「はあああああ…」
そうだよね。
クボ家は
天下のボック☆バーガーの
創業者一族で
私だって
クボ先輩から
告白されたときは
夢かと疑ったもんね…。
溜息をつく私から
「…トーコちゃん。キミはね。
あの本宅のヤツらが
どんな人間か
知らないんだよ」
バードさんが
マグカップを取り上げた。