「え?」

顔をあげると

目の前に
バードさんの揺るぎない
真っ直ぐな瞳がある。


「あの家の人間はみんな
最高にクレイジー!」

「……」

「あんな最悪な本妻に
トーコちゃんは
1ミリも似ていない!」


あ…。


「本妻…さん?」


クボ先輩の書類上の
お母さん。


本妻としての立場を守る為に

若い母親のお腹の子を
自分が産んだ子として
買い取って

家族を、世間を
欺き続けている女性。


「えっと、あの」

私が指していたのは

本妻さんの方ではなく

自殺した
クボ先輩の産みの母親の方
なのだけど。


「…そして
あの義弟も同罪だ!

すべてを知っていたのに

あんなにも大切に
思って貰っていたクセに!」


「……」


「あんな最低なヤツ
トーコちゃんの彼氏に
ふさわしくない!」


バードさんは
そこまでひと息で言い切ると

両指を組みアタマを抱えた。


クボ先輩も
すべてを知っていた?

同罪…?