レクイエム#051


これまでの話の流れや
バードさんの口調から
考えてみても

私が口にしたコトバは
愚問だったのかもしれない。


「…もうこんな時間だ。
そろそろココを出なくちゃ」

私の質問をはぐらかすように

自分の腕時計を見て
バードさんが腰を上げる。


「時間、って…」

そう言えば
今って何時頃なんだろう。


セイ。心配してるだろうな。

テルさんと何とか
連絡を取るなり

合流なりしてくれていたら

いいんだけれど…。



「そろそろ
あそこにいたワンオーも
解散している頃だから

外に出ても大丈夫だろう」


「……」

ワンオーは
そうかもしれませんが

ウチのセイは
そういうワケには
行きません。


執拗さに掛けては

どんなヒトにも
負けません。


セイをナメたら
痛い目に遭いますから、と

喉まで
出掛りそうになりながら

マグカップを片付ける
バードさんの後ろで

私は時計を探し

部屋の中を見渡した。


「あれ?」

この部屋って

「時計がない…?」