「え?、ああ。時間なら
あと少しで
2時になるぞ、ってトコロ」
バードさんが布巾を手に
こちらを振り返る。
「時計
あるコトはあるんだけど」
バードさんがアゴで指示した
戸棚の上に目をやると
「…これですか?」
白いフクロウの
ぬいぐるみに見えていた
ソレの腹部に
液晶画面がついていた。
「それさ。
電池が切れたんで
新しいのと
取り換えたのはいいけれど
時間の合わせ方が
わかんなくってさ」
手に取って裏返してみると
スイッチが切ってある。
「……」
スイッチをオンにしてみると
液晶画面の文字が
点滅し始めた。
目覚ましやらラジオやら
いろんな機能がある
みたいだけれど
矢印キーを前後左右に
動かしていけばいいだけの
簡単な仕様だ。
これなら私にでも…。
「バードさん。
今何時何分ですか?」
「えッ、キミ、もしかして
マニュアル見なくても
時刻合わせられたり
出来るの!?」
大袈裟に感動する
バードさんに
こっちが驚いてしまう。
「凄いな。尊敬する」
なんて。
明るい笑顔。
単純、ってゆ〜か。
喜怒哀楽が本当に
わかりやすいヒトだ。
私に近づいてきて
自分の腕時計を
私に見せながら
「1時56分まで
あと15秒、14、13…」
バードさんが子どものように
時刻をカウントダウンした。