このヒトは
もはや疑う余地もない
生粋のデジタル音痴。


「私のケータイを取り上げて
宅配便のトラックに
投げ入れたときも…」

このヒトは
私のケータイの電源の
入れ方を知らなくて。


「バードさんの車で発見した
ケータイ電話」

脅迫メールの犯人の
証拠の品。


なのに

バードさんは
そんな大事なモノを

車に戻ってきたときに
探している様子もなかった。


「自分が偽りの存在であると
知られるのを恐れている
バードさんが

リスクを冒してまで

協力者を求めなきゃ
出来ないような
手の込んだ危険な方法を
選ぶモノなんだろうか…」


「トーコちゃん?」


正直。

「テルさんが言ってたように

家出をした自分を探すのは
諦めろ、という意味での
警告では、と

私も疑ってもいたけれど…」


バッ。


私のセリフの途中で

今度は突然
部屋の電気が消える。


「…停電?」

手の中の電池式の時計の
液晶部分の数字と

タバコの赤い火が

暗闇に
クッキリと浮かんでいた。


液晶の数字は
ちょうど2時を指していて。


「…草木も眠る丑三つ時ッ」

家の軒も三寸下り
魔物達が跳梁する。


「…今、なんか玄関の方で
音がしませんでした?」


何かが近づいてくる
気配がした。





月夜に啼く春鶯
〜ツキヨニナクトリ

レクイエム#051

≪〜完〜≫


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