レクイエム#052
ガタ。
「痛ッ」
私の足元で
バードさんが蹴つまづいた。
「バ、バードさんッ!?」
差し出した私の手を
押し返すようにして
バサバササ。
いろんなモノを
引っくり返しながら
バードさんが慌てている。
「お願いですから
暗闇の中
無言で動き回らないで
くれますかッ」
ハッキリ言って
怖いですッ。
なのに。
ガン!
バタ、バタム!
私の背後で
部屋のドアを激しく
開け閉めする音がして
「…バードさん?」
私の問い掛けは
暗闇に呑み込まれ
そこに
沈黙の空間が広がった。
「え、やだ、何…?」
自分の声だけが
やたらと響く部屋。
真っ暗闇の中
ひとり取り残される…。
「あは?」
バードさん?
…ポタン。
「!!!」