あのとき
懸命に世話をしていた
天国のふたりも
驚いていると思うよ、と
バードさんがちいさく笑う。
「…もしかして
この鳥の為に
ずっと暖房を点けっ放しに
していたんですか?」
「そう。マンションに
戻りたかったのも
コイツの様子が
気になってたから」
…どうりで
この部屋に入ったとき
部屋が暖かかったワケだ。
「この1カ月くらい
ずっと調子が悪くてね。
布を掛けていても
眠らないときがあったりね」
「……」
「今までだって
危ないときは何度もあって
こうして世話を焼くのも
あと少しかも、と思いながら
5年になるかな」
タオルで手を拭いている
バードさんの指から
絆創膏が外れ掛けていた。