「クボくんのお母さんには

生きたミミズを
すり潰したりするマネなんか

とてもじゃないけど
出来そうな雰囲気は
なかったし」


クボ先輩のお義兄さんの
お母さん…。


「僕が母親とケンカして
父と暮らした田舎に戻ると
家を飛び出したときに

本当は連れて行こうと
思ったんだけど

許可証のいる鳥は
飼えなくなったからといって

他人に譲り渡したり
許可証が出た市町村を離れて
飼育を続けるコトは
出来ないらしくってさ」


「……」


「クボくんが必死になって
守ってきた命だったからね」


洗面所の鏡に映る
自分の顔を見つめながら

バードさんは遠い目をする。


「クボくんんが樹の下で
コイツをキャッチしたのは

もう孵化する寸前の
卵の状態で

こう、ヒビも入っててさ」