“ヒナを助けてください”
「ワンオーの車についていた
鳥のマークを見て
クボくんは
鳥好きの人間の車だと
勘違いしたらしい」
「……」
「鳥の卵を手に
車の前に飛び込んできたのが
全裸の少年でさ。
あのときは本当に驚いたよ」
え。
「全裸…って…」
「着ているモノを剥ぎ取られ
自傷疵さらされて」
卵なんかより自分の方が
よっぽど
悲惨な状態だったのにね、と
私のリアクションを
目の中に入れるのを
避けるように
バードさんは鏡の中の自分に
話し掛けていた。
「彼の自傷疵って
切り刻むトコロが
もうない、ってくらい
5ミリ刻みくらいに
手の甲や
首元にもあったから」
「……」
夏の暑い日でも
長袖に襟の高い服。
「体育のある日は
ジャージで
登下校していたらしいから」
その奇異な姿は
目立って
当然と言えば当然で。
「手を洗うときに
腕を捲っていたのを
クラスメイトに
目撃されたらしくって」