おびただしい数の自傷疵は

皆の想像力を触発し
学校中の好奇を誘う。


「それまでに
何度も全裸にされて
路上に放置されている彼を
保護していたけれど」

もう人生を
諦めているのか、って
カンジだった彼が

「卵を手に、あんなにも
動転しているのを見て

ああ、コイツ
こんな目をするんだ、って

ビックリした」


環境局を説得したり

鳥に詳しい獣医を
探して来たり。


「ヒナとクボくんの為に
マグカップの彼女は
ひとり奔走してさ」


“at home”


「気がついたら

彼女はクボくんから
こんなモノまで
預かるように
なっちゃってて」

ポケットから出した
カードキーを

バードさんが
鏡越しに私に見せた。


「…あの日の転落事故で

もう二度と意識を
取り戻すコトがない
だろう、って

彼女の家族から頼まれて

このキーを返そうと
一度はクボの本宅に
足を運んでみたんだけどね」


「え」

…クボ先輩の、家に?