…キリエさんの

「…犬ッ」


「自分のコトを
“使える”バカだなんて

何の疑いもなく
思い込める辺り

お前ってホンットに
とことんトーコだよな」


くのおおおおおおお。


自らドツボにハマったのかッ
ハメられたのかッ。

屈辱にアタマから
湯気が吹き出しそうだ。


だが
ここで負けてはいかんッ。

いかんのだッ。


バードさんが
私を見ていますッ。


「…その賢いワンちゃんが
ここまでセイを
導いてくれたとか?」

「結果的にはね」

「……」

…何でこうイチイチ
引っ掛かるモノ言いを。


「今、下の駐車場の
車の中に繋げてあるけど

誰の言うコトも
ホント、まともに
聞きゃしないんだから」

と言いながら

満更でもなさそうなその顔が
なんかヤだ。


「でも、まあ。

あの“使える”バカ犬が
己の欲望のまま
中華菓子の匂いに
執着してくれたからこそ

このマンションの
駐車場へと続いていた
些細なガラスの破片を

発見するコトが
出来たようなモンだしな」


え。

「それって、もしかして」

破壊された
車の窓ガラスの…?