「トーコちゃんの
…知り合い?」
「えっと。あのッ」
セイを睨みつける
バードさんの目が
怖いですッ。
「…アンタさあ。
俺のコト、覚えてねえの?」
覚えているハズがない。
車の中にいたセイは
バードさんの前で
フルフェイスのヘルメットを
被っていて
私にもわからなかったくらい
ヘルメットの中でくぐもって
声が違って聴こえていた。
だけど。
「あのですねッ」
ここは、あの暴漢とセイが
同一人物だってコトは
口にしない方がいいよね。
黙っているのは
ウソをつくのとは
違うんだしッ。
「セイは私のですね…」
そんな私の配慮も空しく
「この衣装!
公園でのゲリラライブで
演武していた一味か!」
バードさんの右手が
セイの着ていた
ベンチコートの前を開く。
白い演武の衣装が
セイの胸元から覗いていた。
「…だとしたら、何?」
好戦的なセイの態度。
「もしかしてキミが
今回の騒動の
首謀者なワケ?」