「バードさんッ
それはですねッ」

一発触発な雰囲気に

ふたりの間に
割って入ろうとした
私の肩を押し退けて

「!!」

バードさんの拳が
セイの頬をかすめると

「…穏やかじゃないね」

セイの顔から
ニヤケた笑みが消える。


ヤバッ!
セイは本気だ!

オンナ子どもにも
容赦ないこのオトコッ!

「セイッ!
絶対に手を出さないで!」


殺気を感じた私は
思わずセイの足元に
しゃがみ込み

「セイは私の弟でッ!

キリエさんは
私達の通っていた小学校の
保健室の先生ですッ」

セイの両足に抱きついて

身動きが取れないよう
強く強くホールドした。


「あのヒトの…教え子…?」

「そうですッ!

コヤツが家族に黙って
何やらコソコソやってるのは
気づいてはいましたがッ

それがまさか先生に頼まれて
娘さんを探していたなんて

私もさっき車の中で
初めて知ったたくらいでッ」

「……」


「離せ、トーコ!」

セイの手が
私の頭頂部に爪を立てる。


「…あのヒトが
僕を探していた?」


「……」
「……」

バードさんの
チカラない声に

私とセイの動きが止まった。