「…そうだよ!
アンタが言い残した
“お父さんの家に帰る”の
コトバを真に受けてさ」
学校を退職し
「元夫の故郷でひとり
アンタの行方を4年間も
探し回ってたんだよ!」
「…ウソだ。そんなハズ」
「……」
「あのヒトは
あの日、あの場所から
逃げた僕を
追い掛けようとも
しなかった!」
「……」
「さっきだってそうだ!
車のトコロに戻って来た僕と
目が合ったのに
気づかないフリしてさ!」
…バードさん
さっきの現場に
キリエさんがいたコトを
知っていたんだ。
「あのオンナ、きっとまた
自分の子どもが他人さまに
迷惑を掛けていると
勝手に思い込んだに
決まってるんだ…!」
だから
バードさんは
居たたまれなくなって
ボールペンなんかで
私を脅すようなマネをして
あの場から少しでも早く
立ち去りたかったんだ…。
「我が子を探しているなんて
単なるパフォーマンスで
あのヒトは
ただ教育者としての体裁を
大事にしたかっただけ
なんだよ!」
バードさんはそう怒鳴ると
ドゴン、と一発
感情に任せ
壁を蹴りあげる。
「…もしかしてバードさん」
キリエさんの目のコトを
知らない、とか?