「…ふん」

立てた片ヒザにヒジを置き

私からもバードさんからも
顔を背けていて。


…隙だらけ。


俺の態度が
気に入らないのなら殴れば?

と言わんばかりの空気に

私は
セイをトガめようとしていた
自分の手を引っ込める。


なのに

セイは肩で息を切りながら

「へへ…」

まだ殴られ足りないと
言わんばかりに
ゆっくりと顔をあげ

滲む汗に沁みる片目を
堅く閉じ

口元には
不遜な笑みを湛えながら

この事態に動揺を隠せずに
立ち竦んでいたバードさんを

見上げてみせた。


「…ちょっと。それ反則。

そんなモノ胸に入れてたら
危ないに決まってる」


バードさんが思わず
身を引いてしまう程の

すさまじいセイの迫力。


普段のセイを知らない
バードさんの目には

ヤバすぎる
あぶないヤツとしか
映らないだろう。


「…小学校時代の
保健室の先生の為に

どうしてそこまで
必死になれるのかが
僕にはわからないよ」


バードさんの疑問は
もっとも、だった。