バードさんが見せた
引きつった笑みに

「違うんです!

それは
あくまでセイが私にした
言い逃れであってッ

けっしてキリエさんが
ウソをついて回っていた
ワケでは…!」


「……」

「あのッ」


「……」

「えっと。あの…ッ」


私の額から
大粒の汗が零れ落ちる。


「ホントの話だよ」

え。


「キリエさん本人から
聴いたんだよ」


セイが俯いたまま
ため息をついていた。


「前のダンナとの間に
出来た子どもの話」

思わぬセイの激白に

「前のダンナ…?」

バードさんに動揺が走る。


「アンタの父親と再婚する前

最初の結婚相手との間に
子どもがいて

アンタが生まれる10年程昔に
亡くなってる」


それは

バードさんの両親が
バードさんに
伝えていなかった

ひとつの事実。


封印されていた秘密だった。