「湿布あっ…」
間の悪いバードさんに
セイの鋭い視線が
向けられるッ。
「ンなモン、必要ない」
セイは自分のケータイを
ポケットから取り出すと
「トーコ
救急車、呼んでくれ」
番号をプッシュしながら
私にケータイを押しつけた。
「えッ!、救急車ッ!?」
今までだって
たくさん
酷い怪我をしてきたけれど
セイが自分から
救急車を呼んでくれ
だなんて
初めてで。
「救急車って
あの救急車、だよねッ?」
動揺する私の手を掴み
「それくらい出来るだろ」
セイがケータイに
耳を近づけてくる。
「え…っと、あの」
「しっかり
おおきな声でしゃべれ」
耳元でそう囁きながら
私の手を
セイが強く揺さぶった。
「あのッ、もしもしッ
救急車さんッ
いえッ、救急車ッ
1台ッお願いしますッ」
パニくり気味の私の耳に
『…22分ちょうどを
お知らせします』
「え?」
『ピ、ピ、ピ、ピ〜』
淡々としたメッセージ。
「これ、時報ッ!?」
「OK。御苦労さま」
バツが悪そうに
セイが苦笑しながら
私からケータイを
取り上げる。
「……」
「……」
まさか…まさかの
掛け間違いッ!?
猿も木から落ちる。
弘法も筆の誤り…?