「あはッ。緊急時だもんッ。
普通の状態じゃないんだから
掛け間違えたって
恥ずかしくなんてないよッ」
「お前じゃあるまいし
わざと間違えた、に
きまってるだろ」
「またそんな
つまらない意地を…」
私のコトバを遮るように
コツン。
セイが金色の仮面で
私のアタマを小突いた。
「盗聴器の破壊に
成功したみたいだな」
え。
「盗聴…?」
想像だにしなかったコトバが
セイの口から飛び出して
「……」
私は思わずバードさんと
顔を見合わせる。
「活きた盗聴器の傍で
ケータイ電話を掛けると
自分の声が
エコーが掛かったように
ハウって聞こえるんだけど
今のトーコの声には
跳ね返りはなかったから」
…ちょっと待ってよ。
「盗聴器、って!?」
「これだよ」
金色の仮面の
表面の飾りのひとつ。
バードさんの拳打によって
潰れていたソレを
セイが丁寧に
仮面から取り外すと
装飾パーツには
あり得ない構造の
裏面が露出した。